米オハイオ州デイトンに本拠を置くヘルスケアプロバイダーの「Dayton Children’s Health Partners(DCHP)」は、10の独立した小児科診療所を有し、プライマリケアと小児科専門医療の実践に努めてきた。一方、これら医療機関群においては異なる6つの電子医療記録(EMR)を利用しており、データベース間の隔絶が有効なデータ利用の妨げとなってきた。
DCHPはこのほど、効率化と患者アウトカム向上を目的とした「データアグリゲーションプラットフォームの構築」を目指し、Innovaccer社と提携したことを明らかにした。同社のクラウドプラットフォームを利用し、統合された患者記録を生成することで情報サイロの排除を実現している。今後、ネットワーク内で患者情報は完全に共有され、円滑で効果的な医療提供に繋げるほか、データ標準化による適切な財務分析の実現と運営効率化、人的パフォーマンスの測定と向上など多面的なデータ活用を模索する。
医療機関ごとにデータが孤立する現状は日本においても深刻である。個人健康記録(PHR)への議論も含め、強力な推進力を持った民間プレイヤーの参入にも期待が大きい。有効な医療AI構築の観点からも多地域多施設データの価値は高く、実際的なデータ利用を見据えた包括的プラットフォームの確立と導入が事態解決の一助となり得る。
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