唇の動きから音声を読み取る「読唇術(口話)」をAI技術によって実用化する動きが進んでいる。北アイルランドに拠点を置くLiopa社は「SRAVI(Speech Recognition Application for the Voice Impaired)」という読唇術アプリを開発している。
Liopaの18日付リリースでは、SRAVIが初めての商業契約を英Royal Preston Hospitalと結んだことを発表している。SRAVIは気管切開や咽喉手術後、脳卒中、麻痺、外傷といった様々な状態の患者を支援するために開発された。患者がスマートフォンのカメラに向かって唇を動かすと、SRAVIアプリは唇の動きをAI技術で認識し、音声として読み上げる。同社によると「登録したフレーズリストからの認識精度は90%以上」を謳っている。導入病院ではICUなどで入院患者向けに使用が許可され、患者・家族・医療スタッフ間でのコミュニケーション改善が期待される。
実際の患者でのケースレポートとして、幼少期からの声帯麻痺と重症喘息によって気管切開を受けた33歳の患者例が報告されている。同患者は筆談という手段よりも、口話を読み取るSRAVIアプリに対する満足感を述べている。英国内外でのアプリ導入に向け、Liopa社には北アイルランド投資庁からの289,423ポンド(約4560万円)をはじめとした各所からの資金提供が続く。
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