Nvidia – AIによる臨床音声の書き起こし・解析システム

9月13-14日に開催されたConference on Machine Intelligence in Medical Imagingで、Nvidiaの研究者は「日常臨床における医師と患者の会話を書き起こして分析できる、新しいAIシステム」を発表した。

Voicebot.aiが報じたところによると、PubMedデータベースの61億語でトレーニングされたBio-Megatronは3億4500万のパラメータを持ち、米国立衛生研究所(NIH)の自然言語処理・音声認識ソフトウェアによって調整されているという。Bio-Megatronは1ミリ秒の処理遅延のみで92.05%の精度での書き起こしを実現するとともに、会話中から主要な臨床概念を抽出し、先行するエビデンスとの紐付けや分類を行うことができる。NvidiaでヘルスケアAIのプロダクトマネージャーを務めるRaghav Mani氏は「過去数年間、当該領域に継続した注力を行ってきたが、情報の取得・データの抽出・患者体験の改善の観点から、その優位性は明確になりつつある」とする。

Amazonは昨年12月、医療者向けの自動文字起こしサービス「Amazon Transcribe Medical」を発表している(過去記事)。また、MicrosoftはNuanceとの提携により、同社のDragon Medical Virtual AssistantをMicrosoft Azureプラットフォームに統合するなど(過去記事)、大規模マーケットを見据えた積極的な開発競争が進んでいる。COVID-19の拡大に伴い医療者への負担が急激に大きくなるなか、日常臨床を直接的にサポートする技術として現場からの期待も多大と言える。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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