遺伝カウンセリングのためのAIチャットボット

ノルウェー・ハウケラン大学病院の研究チームは、「遺伝性乳がんおよび卵巣がんに関する遺伝カウンセリング」のためのAIチャットボットを構築し、検証している。遺伝カウンセラーや臨床遺伝学者、エンジニア、患者、などの多様なメンバーで構成される学際的研究チームが提唱する「遺伝カウンセリングの新しい形」に大きな注目が集まっている。

Patient Education and Counseling誌から公開されているチームの研究論文によると、Rosaと呼ばれるこのAIチャットボットは、商用のAIチャットボットプラットフォームをカスタマイズすることで2年間をかけて構築したという。遺伝カウンセリングの専門家、当事者ら計58名で意見を出し合い、2,257に及ぶ質問項目とその回答を設定した。患者向けの反復アプローチにより、開発プロセスにおける広範なユーザテストとユーザビリティテストを実施し、結果的には実証試験においても「チャットボットへの肯定的な態度」を有意に得られる信頼性の高いものとなった。

研究チームは「遺伝カウンセリングサービスにおいて、患者が遺伝カウンセラーに会う前の段階で、チャットボットが正しい情報を与えてくれる。これは、自身の環境でそれぞれのペースと時間で準備を行うことができるようになることを意味する」と述べ、チャットボット利用が患者と遺伝カウンセラーの双方にメリットがあること、患者ニーズに合わせた最適化カウンセリングが可能となることを強調する。AIチャットボットが遺伝カウンセリングにおける重要な伴侶となるか、今後の展開への関心は尽きない。

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1. 岡本 将輝
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員を経て、SBI大学院大学客員准教授、東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. 杉野 智啓
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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