慢性腎臓病(CKD)の重要リスク因子に「教育水準」

高齢化の進展で、世界各国で慢性疾患の管理は重要な関心事となっている。なかでも台湾では、慢性腎臓病(CKD: Chronic Kidney Disease)に関する医療コストの増大が顕著である。米国の腎臓関連データバンクUSRDSの年次報告でも、台湾における透析患者の有病率と年間発症率が世界でトップとのデータが示されていた。台湾国内でのCKDリスク要因を評価するために機械学習アルゴリズムを用いた研究が、国内の主要健診センターMJグループを中心として行われた。

同研究の成果は学術誌 Risk Management and Healthcare Policyに27日付で発表されている。MJグループにおける2010〜2015年まで65,394人の健診データから、18種のリスク因子について5つの予測モデルを用い、CKDリスクを判定した。その結果5つのモデルすべてにおいて、血中尿素窒素(BUN)と尿酸(UA)の血液検査データがCKDのリスク指標として1位、2位に同定され、これまで臨床的に認識されていたのと同様の結果を示した。本研究でユニークなのは、5つのモデルの中で予測性能の成績が特に優れた3つのモデル(LR・SGB・XGboost)において「3番目に重要なリスク因子が教育水準」と示された点である。すなわち教育水準が高いほどCKDの発症率低下との関連が強く、学歴が低いグループに比較して高学歴グループではCKD発症リスクが10分の1程度低かった。

教育水準がCKD発症率や健康意識と関連していること自体は従来より示唆されてきた内容であるが、様々なリスク因子全体の中でこれほどに上位で大きなウエイトを示したことは、驚くべき結果であると研究グループでは考察している。このことは社会的に広く認識されておらず、議論に及んでいないとして、さらなる研究の価値があると述べられている。教育水準という代理指標には不完全な点もあるが、ほぼすべての研究者が利用可能にもかかわらずその指標の活用が不十分であり、政府や保健機関はより注意を払うべきと、本研究では結論付けられている。

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