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心電図を活用して肺塞栓症を検出するAI研究

肺塞栓症は、四肢の深部静脈で作られた血栓が剥がれ肺動脈を詰まらせることで発生し、致死的な状況を招くリスクの高い疾患である。息切れや胸部痛といった自覚症状は多様な疾患でみられる非特異的なものであるため、現場での診断は容易ではない。診断を確定する検査のひとつ、肺血管造影CT(CTPA)は限られた医療機関でしか実施できず、検査に至るまでの障壁は相応に高い。

米マウントサイナイ・アイカーン医科大学の研究グループは、心電図から肺塞栓の兆候を検出するAIを発表している。European Heart Journal – Digital Health誌に掲載された研究論文によると、この機械学習アルゴリズムは心電図と電子カルテデータを組み合わせて学習している。肺塞栓症の発症を判断する上で、既存のスクリーニング手法4種(Wells’s Criteria、Revised Geneva Score、Pulmonary Embolism Rule-Out Criteria、4-Level Pulmonary Embolism Clinical Probability Score)よりも高い特異性と精度が示された。

心電図という広く普及し比較的容易に利用できる検査方法を、スクリーニングアルゴリズムに組み込むことに本研究の優位性がある。電子カルテデータ中心のアルゴリズムでは肺塞栓症検出の成功率にムラがあり、一方でより精度の高いアルゴリズムを追究するとCTPAのような高度な検査データに大きく依存してしまう。医療AIの普及にとって、日常的に収集できる身近な検査方法を効率的に組み込むことが戦略的に重要であり、本研究は臨床的ニーズとうまく合致した好例と言える。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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