米マサチューセッツ総合病院、マサチューセッツ工科大学ブロード研究所、ハーバード大学などの研究チームは、心電図画像および臨床的リスクスコアから「心房細動の発症リスクが高い患者」を高精度に特定するAIシステムを開発した。研究成果はCirculation誌からこのほど公開されており、予防的施策への多大な貢献が期待されている。
心房細動は不整脈の一種だが、血栓形成とそれに伴う脳卒中リスクのため、積極的な治療が必要となる循環器領域の重要疾患だ。本研究論文によると研究チームは、マサチューセッツ総合病院に受診歴のある45,770人の患者における12誘導心電図データをもとに、今後5年間の心房細動発症リスクを予測する畳み込みニューラルネットワークをトレーニングした。これを83,000人以上に及ぶテストセットで検証したところ、AI単独ではAUC 0.823、さらに臨床的リスクスコアであるCohorts for Heart and Aging in Genomic Epidemiology AF(CHARGE-AF)と組み合わせたところ、0.838までの向上を確認している。
研究チームは「AIを用いた12誘導心電図の解析は、心房細動の発生に対する臨床的リスク因子モデルと同様の予測有用性を有し、両アプローチは互いに補完的である」と結論付けており、本システムが将来の心房細動リスクを効率的に定量化できる可能性があるとして、研究の発展と臨床実装への期待を示している。
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