小児静脈血栓塞栓症のリアルタイムリスク予測モデル

医療機関内における静脈血栓塞栓症(VTE)について、小児の罹患率増加が問題となっているが、高リスク者の特定は依然として容易ではない。米ヴァンダービルト大学モンローカレルジュニア小児病院の研究チームは、大規模な後ろ向きコホートを利用し、小児VTEのリアルタイムリスク予測モデルを開発し、その有効性を検証した。

このほどPediatricsから公開されたチームの研究論文によると、同院に入院した11万症例を超える入院データを利用し、潜在的な危険因子と院内でのVTE発症との関連を推定した。予測モデルにはシンプルなロジスティック回帰が用いられ、11個の臨床変数から入院中のVTE発症を予測したところ、導出コホートからC統計量 0.908と高い識別精度を示していた。また、4.4万症例以上からなる検証コホートにおいても、C統計量 0.904とその精度は保たれていた。なお、VTE発症に強く関連する因子としては、血栓症の病歴や心疾患の存在が明らかにされている。

研究チームは「高リスク者の早期発見によって予防的介入が増加し、小児の院内VTEを低下させることができる」ことを強調する。また、本研究は2年目となるヴァンダービルト人工知能研究所(AVAIL)の助けによって実現されている点も特色である。

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The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. M.Okamoto MD, MPH, MSc, PhD
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員を経て、SBI大学院大学客員准教授、東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. T.Sugino MD
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。