スウェーデン・エレブルー大学の研究チームは、肥満手術に伴う重篤な手術合併症を予測するAIアルゴリズムの開発に取り組んでいる。
学術誌・Journal of Clinical Medicineに今週掲載されたチームの論文によると、スウェーデンで肥満手術を受けた38000例に及ぶ患者の臨床データを利用し、教師あり学習による29のアルゴリズム構築を行ったという。いずれも90%を超える高い正確性と特異度を示したが、テストサンプルによる検証では、十分な感度が確保できず臨床的な有用性を示すには至らなかったとのこと。今後チームは、オーバーサンプリングを含めたモデリングと再検証を行い、有効なアルゴリズムの構築を目指す。
成人肥満の増加は世界各国における深刻な公衆衛生学上の課題と言えるが、肥満手術は特に高度肥満に対する長期的な減量効果のあることが示されている。日本においても、継続した内科治療によって改善のみられない高度肥満に対し、保険適応による肥満手術が施行されている。手術合併症は栄養吸収障害や腸閉塞から、深部静脈血栓・心筋梗塞まで非常に多岐に渡り、事前のアセスメントによる合併症リスクの把握は非常に価値が高い。