自転車乗りをブラックカーボンから救え

ブラックカーボンは大気中のエアロゾル成分の1つであり、地球温暖化促進因子として大きな注目を集めている。このブラックカーボンは、ディーゼルエンジンの排気ガスや石炭の燃焼などから発生するが、実は発がん性をはじめとした深刻な健康影響も指摘されている。今回はAI技術を利用し、サイクリストをブラックカーボンから守ろうとする取り組みを紹介する。

学術誌・Science of The Total Environmentにて今月公表された研究報告によると、ブラジルの道路上でのブラックカーボン濃度をモニタリングし、サイクリストの曝露状況を予測するAIアルゴリズムを構築したという。最も強力な予測因子として示されたものは、1時間あたりの「酷使された車両通行量」であったとのこと。研究チームは、サイクリストの健康を守るため、公共バスの刷新・修繕を求めるとともに、自転車専用レーンの設置による隔離の必要性を訴えている。

先進各国を中心にactive commuting(徒歩・自転車などによる健康的な通勤方法)が取り沙汰されるなか、自転車通勤が逆に健康被害をきたす切実な状況にある地域が存在する。全地球的な環境問題は当然重要だが、個別の健康事例に落とし込んでの積極的な研究実施もまた非常に大きな意味を持っている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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