前立腺がんはアメリカ男性がん死亡数の第2位で、社会的に注目度が高い。高齢化とセットの典型的ながんで、日本でも罹患数が急増している。手術治療は良好な予後をもたらす選択肢だが、術後の再発率は20-30%前後で、再発リスク評価に発展の余地があった。
Medical Expressによると、米マウントサイナイ病院は術後病理診断に免疫染色画像を分析するAIアルゴリズムを組み込み、リスク分類を再定義した。悪性像の評価指標グリソンスコアと術前腫瘍マーカーPSAによる従来のリスク評価と比較したところ、以前は中等度に分類されていた集団の58%を低リスク、42%を高リスクに再分類したという。Nature Prostate Cancer and Prostatic Diseasesに発表されたこの成果は、術後のフォローアップの厳密性を考える際や、再発が疑われた時の放射線療法やホルモン療法など追加治療を考慮する際など、臨床判断を補助するのに有用となる。
前立腺がんは、適切にフォローアップできた場合には死亡率が大幅に低減する一方で、早期診断や偶発がんを取り扱うにあたり、過剰診断と過大治療がしばしば問題視されている。臨床医の判断を左右する要素が時代とともに繊細に変化するため、より個別化された客観的なリスク評価指標がAIにより確立されることは現場から歓迎されるだろう。