2021年のヘルステックにおける一大トピックとして、MicrosoftによるNuance Communicationsの買収がある(過去記事)。197億ドル(2.1兆円超)に及ぶ買収劇は大きな波紋を呼ぶとともに、ヘルスケア領域における比類のない資産を手に入れたMicrosoftの、次の動向には大きな注目が集まっている。
Nuance Communicationsは元来、音声認識技術開発で知られ、Appleが誇る「Siri」の音声認識エンジンの開発元として名を馳せた。同時に電子カルテ記録の自動化領域でも多大な成功を収めており、Microsoftによる買収段階において、米国医師の55%以上が使用するAIソリューションを提供していた。一方でこの買収については、2021年12月には英国競争市場庁(CMA)による独占禁止法の調査が開始され、一つのつまずきを経験する。しかし、年が明けると、欧州委員会(EC)はこの買収を承認しており、英国は遠からずこの決定に追随するものとみられている。
医師をはじめとする医療関係者は、手でメモを取る必要がなくなることで、より多くの患者に向き合い、より多くの時間をケアに費やすことができるようになる。Nuanceが成し遂げた成果はMicrosoftによって洗練され、今後のグローバルな普及を確たるものにする。2024年にはAIプラットフォーム市場全体の8.2%を占めるに至るヘルスケアAIプラットフォーム市場を見据え、ビッグテックはその存在感をさらに強めようとしている。
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