Microsoft – ビッグテックは医療市場を見据える

2021年のヘルステックにおける一大トピックとして、MicrosoftによるNuance Communicationsの買収がある(過去記事)。197億ドル(2.1兆円超)に及ぶ買収劇は大きな波紋を呼ぶとともに、ヘルスケア領域における比類のない資産を手に入れたMicrosoftの、次の動向には大きな注目が集まっている。

Nuance Communicationsは元来、音声認識技術開発で知られ、Appleが誇る「Siri」の音声認識エンジンの開発元として名を馳せた。同時に電子カルテ記録の自動化領域でも多大な成功を収めており、Microsoftによる買収段階において、米国医師の55%以上が使用するAIソリューションを提供していた。一方でこの買収については、2021年12月には英国競争市場庁(CMA)による独占禁止法の調査が開始され、一つのつまずきを経験する。しかし、年が明けると、欧州委員会(EC)はこの買収を承認しており、英国は遠からずこの決定に追随するものとみられている。

医師をはじめとする医療関係者は、手でメモを取る必要がなくなることで、より多くの患者に向き合い、より多くの時間をケアに費やすことができるようになる。Nuanceが成し遂げた成果はMicrosoftによって洗練され、今後のグローバルな普及を確たるものにする。2024年にはAIプラットフォーム市場全体の8.2%を占めるに至るヘルスケアAIプラットフォーム市場を見据え、ビッグテックはその存在感をさらに強めようとしている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。
The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. 岡本 将輝
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員を経て、現在は米マサチューセッツ総合病院研究員、ハーバードメディカルスクール・インストラクター。他に、SBI大学院大学客員准教授、東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. 杉野 智啓
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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