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新研究 – 女性医師の方が遠隔医療をより早期に取り入れる

JAMA Network Openから公表された新研究によると、米国の主要な地域医療システムでは、2020年末までに日常診療の大部分に遠隔医療の取り込みが進んだが、女性医師は男性医師に比べてより早期にバーチャルケアを導入していた可能性が高いことが明らかとなった。

米マサチューセッツ総合病院の研究者らは、12の病院を含む「Mass General Brigham」を通じて外来診療を行う全医師3,473名について、レトロスペクティブにそのデータを分析した。論文によると、そのうち13.8%がイノベーター、45.0%がアーリーアダプター、35.6%がマジョリティに該当した。特に若い世代にイノベーターとアーリーアダプターの割合が高く、男女比較では有意に女性の方が高かった。さらに外科医、および1928-1945年に生まれたサイレント世代の医師は、アーリーアダプターとなる可能性が有意に低いことも示された。研究チームは「一部の医師は他の医師よりも早く(遠隔医療への)移行を行っており、患者の医療アクセス等に影響を与える可能性がある」としている。

本研究は、新技術への適応において存在する医師の性差・世代間差を明確化したのみではなく、患者グループ間での公平な医療アクセスを確保するためには、バーチャルヘルスケアの導入、医師、患者パネル等の相互作用をさらに検討する必要があることを示唆している。研究者らは、米国医師の大多数が「永続的なバーチャルケアの拡大」に賛成しているとし、プライマリーケアは今後のイノベーションの焦点の1つになると結んでいる。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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