米ミシガン大学などの研究チームは、電子カルテデータからCOVID-19患者の病状悪化を予測する機械学習モデルを構築し、その性能を多施設で検証した。特徴となるのは、コード共有を前提としたモデル開発で、汎化性能を高めるため、よりシンプルなモデルの構築を行なっていることとなる。研究成果は、権威ある医学専門誌「BMJ」からこのほど公開された。
チームの研究論文によると、機械学習モデルは米国内の単一医療機関におけるデータからトレーニングされ、外部検証を12の医療機関で実施した。開発コホートデータに基づき、線形モデルのアンサンブルをトレーニングし、入院後5日間における臨床的悪化(院内死亡・人工呼吸・高流量鼻カニュラ・バソプレッサーの複合アウトカム)を予測させた。臨床的に利用可能な2,686の変数から選択した9つの変数がモデルに利用されている。内部検証においてAUROC 0.80、期待キャリブレーション誤差 0.01を達成したが、この性能は外部検証においても一貫しており、性別や年齢、人種、民族ごとのサブグループ間での検証でもそのパフォーマンスを低下させることはなかった。
研究チームは「このモデルを用いて低リスク患者をトリアージすることで、早期退院によって患者1人当たり最大7.8日の病床日数を短縮できる可能性がある」ことを強調する。医療資源の最適化に資する現実的なツールとしての価値を示しており、今後の検証拡大と臨床活用が期待されている。
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