救急診療部での待機時間および滞在時間の長さは、予後不良との関連が指摘されている。カナダ・トロントのHospital for Sick Childrenにおいて、小児救急外来における機械学習ベースの医療指示システム導入によって、検査オーダーを自動化し「診療の迅速化が達成できるか」についての検証が進められている。
JAMA Network Openに掲載された同研究は、Hospital for Sick Childrenの救急診療部を受診した77,219例の小児患者を対象としている。研究チームは機械学習ベースで自律的に医療指示を発するシステムを構築するため、尿検査・心電図・腹部超音波検査・ビリルビン値検査・前腕部X線検査の必要性を予測するモデルを、電子カルテデータに基づいてトレーニングした。性能検証の結果、22.3%の患者で診療が効率化され、自律化された検査オーダーによって患者1人あたり、通常より165分早く検査結果を得られることが示された。
特に北米においては、救急外来で患者の流れを改善する戦略として、トリアージ担当の看護師による検査指示が重視されてきた。これは成人において比較的有効な戦略であったものの、小児では「過剰検査または侵襲的検査がより懸念される」こともあり、ワークフロー普及を阻む要因ともなってきた。機械学習ベースの自律診療指示システムの開発が進むことで、従来の人によるアプローチの限界を克服する可能性があると、研究チームは考察している。
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