米マサチューセッツ州ボストンに所在するデジタルヘルス企業のLinus Health社はこのほど、アルツハイマー病を含む認知機能障害を識別するAIプラットフォームを、ヘルスケアプロバイダー向けに提供を開始することを明らかにした。認知症患者の40%が修正可能な危険因子を有する一方で、適切なスクリーニングが実施されない現状がある。実用的でアクセスしやすいプラットフォームの提供を通し、高齢化の進展に伴って深刻化する認知機能を巡る課題に対処する。
Linusの「Core Cognitive Evaluation」は新プラットフォームの基盤であり、10分以内に認知機能について定量的・定性的なインサイトを提供するもの。同社の「DCTclock」テストを基にした客観的な次世代評価とデジタル質問票を組み合わせることで、患者の現在の認知状態と将来の認知症リスクの両方を可視化し、医療機関や患者への推奨事項を提供する。DCTclockは、長年紙ベースで行われてきた時計描画テストをiPadベースで実施し、さらにその評価・解釈をAIで拡張させたもの。AIを使用することで完成物としての時計の絵だけでなく、描画プロセスも評価することで従来よりも高い疾患検出感度を実現した。なお、この技術はTIME誌の2021年における「100 Best Inventions」にも選出されている。
Linusの最高医学責任者であるAlvaro Pascual-Leone氏は「プライマリケアでより多様な脳ケアを実現するためには、効率的な評価と実用的なガイダンスの両方を提供する必要がある」とした上で、「我々のプラットフォームは、認知に関する問題を早期にスクリーニング・特定し、対処することを可能にした。またこのプラットフォームでは、患者ごとにパーソナライズされた行動計画を作成することで、脳の健康を維持・促進するための対策を講じることができる」と話す。
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