急性期脳梗塞でみられる症状の1つに、左右の視線が異常な逸脱を示す「眼球偏位」がある。眼球偏位がある患者では主幹動脈閉塞(LVO: large vessel occlusion)の存在が示唆されるが、LVOは早期に発見されるほど血管内治療の適応となり患者の予後改善につながる。画像診断AI企業のQure.aiでは、「非造影CT画像に基づき眼球偏位からLVOを検出するAI」を開発し、その成果がSociety of NeuroInterventional Surgery(SNIS)の2022年次総会で発表された。
同研究では「眼球の視線方向」と「脳の正中線」との間の角度をCT画像に基づいて測定することで、眼球偏位からLVOの有無を予測する機械学習モデルをトレーニングしている。このモデルは眼球偏位を唯一の指標として、LVOを感度80.8%、特異度80.1%で検出できたという。研究チームは「このAIを脳梗塞のトリアージプロセスの支援に利用すること」を狙う。
Pacific Stroke and Aneurysm CenterのJason Tarpley氏は「急性期脳梗塞に対する血管内血栓除去術は、最も効果的な治療法の1つだが、治療効果は時間に極めて依存している。この研究結果は、医療機関におけるトリアージプロセスでLVOの特定を早める可能性を持つ進歩だ」と語った。
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