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消防士の命を守る – フラッシュオーバー予測モデル

消防任務におけるリスクの1つに、瞬間的な延焼によって部屋全体が爆発的に火に包まれる燃焼現象「フラッシュオーバー」がある。フラッシュオーバーは消防士の主な死因として知られるが、燃え盛る火災現場においてフラッシュオーバーの兆候を適切に捉えることは容易ではなかった。

米国立標準技術研究所(NIST)や香港理工大学などの研究チームは、火災現場におけるフラッシュオーバーの発生を予測するニューラルネットワークモデルを開発した。FlashNetと呼ばれるこのモデルは、4.1万件を超える火災をデジタルシミュレーションすることで、間取りだけでなく、出火元や家具の種類、ドアや窓の開閉状況など、多数の要素を考慮して構築されている。Engineering Applications of Artificial Intelligenceから公開された論文によると、FlashNetは、米国で一般的な住宅の間取りにおいて92.1%の最大精度を示し、既存の5つの機械学習モデルを有意に上回るパフォーマンスが確認されている。

著者らは「フラッシュオーバーの予測において最も危険なのは、モデルが切迫したフラッシュオーバーの発生を見誤ること」としており、このような「偽陰性」をFlashNetは最も低くできたことを、重要な成果の1つとして強調している。現場経験のみに頼らない客観的なリスク管理手法の確立は、直接的に消防士の命を守る重要な取り組みとなる。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。
The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. 岡本 将輝
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員准教授など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. 杉野 智啓
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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