リンパ節転移を伴う大腸がん患者であっても予後が良好で、術後の再発予防を目的とした抗がん剤治療、いわゆるアジュバント療法を必要としない患者群が存在する。ノルウェー・オスロ大学の研究チームは、ディープラーニングアプローチによって大腸がんに対するアジュバント療法を適切に回避し、これに伴う重篤な副作用の「不要な発現」を防ごうとする。
The Lancet Oncologyから1日公開された研究論文では、既存の病期マーカーと新しいディープラーニングマーカー(DoMore-v1-CRC)を統合することで、アジュバント療法の個別選択が促進できることを明らかにした。新しいリスク層別化システムは検証コホートにおいて、進行がんに分類されるステージIIおよびⅢでも、他の低リスク群と同様に予後良好な患者群を正確に特定しており、臨床的意思決定を支援する有効なシステムとなる可能性が示唆されている。
著者らは、実際は術後に補助化学療法を受けるべきでない患者は3分の1であるとし、これらの患者群に、標準的アジュバント療法である二剤併用化学療法を採用した場合、治療によって防がれたがん死の数と同程度の治療関連死が発生し得ることに言及する。適切なアジュバント療法回避を実現することは、大腸がん罹患に伴う死亡率の低減、医療費の抑制に貢献する可能性がある、としている。
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