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医療従事者のためのAI関連コンピテンシー確立に向けて

医療チームによるAIベースのツール採用がいかに進むかは、実用面および倫理面の多様な懸念とともにある。現時点で医療専門家がどうツールを評価し、どう使用するかに関する「最善の準備方法」についてのコンセンサスは得られていない。

このような状況を受け、米ヴァンダービルト大学メディカルセンターとIBMワトソンヘルスは、全米の専門家を集め、「医療従事者のためのAI関連臨床コンピテンシー」を定義することに決めた。このグループによるコンピテンシーステートメントと研究報告書はこのほど、Academic Medicineに掲載された。同報告では、米国内15人の専門家を選び、医療現場でのAIベースのツール使用に関する構造化インタビューを実施した。インタビュー結果に基づき、コンピテンシーステートメントのドラフトが専門家に提供され、フィードバックを受けた後、最終的には研究チーム8人のメンバー間のコンセンサスに基づいて決定された。

ヴァンダービルト大学のRegina Russell助教授は「インタビューにおいて、専門家らは楽観的な意見と慎重な意見を混在して保有していた」とした上で、「彼らは、健康をサポートするこれらの新しいテクノロジーの大きな可能性を認識しているが、AIベースのツールが展開される際のバイアスや公平性の問題について、注意する必要性を繰り返し表明していた」と話す。AIベースのツールが、モデルトレーニングに際して「使用されるデータ内に存在するバイアスを悪化させる可能性があること」は広く理解されている。同時に、あらゆる種類の健康格差が長い期間において、我々の医療制度と社会に焼き付いている事実があるため、医療従事者はこれらのツールを適切に扱うための基本的な知識、スキル、態度を身につける必要があることを強調している。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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