Nature Medicineに先月掲載されたレター論文では、AIが患者のリクルートと維持の課題に対処することで「分散型臨床試験の患者体験を改善できること」を主張している。分散型臨床試験は、「直接参加型臨床試験」または「仮想臨床試験」とも呼ばれ、一部または全ての健康評価が、臨床現場ではなく、研究参加者の自宅で遠隔的に行われる臨床試験を指す。
従来の研究施設依存を減らすこの変革は、遠隔医療やセンシング技術、ウェアラブル医療機器、バーチャルインターフェース、などの発達によって実現された。著者である米スタンフォード大学の研究者らは、COVID-19の拡大が分散型臨床試験への移行を加速させたことを指摘するとともに、より多様な患者プールを利用可能となる機会が得られたことも利点として挙げる。一方で、分散化により参加者に課される責任が大きくなり、プロトコルの遵守率が低下することやデータの入力エラーが増えること、また収集されるデータ量の増加、などは明確な課題としている。
著者らは、コンピュータビジョン技術を用いたリアルタイムでの自動アドバイスや、データ入力支援、リマインドの最適化など、多面的なAI活用によって分散型臨床試験における患者体験の向上と、試験の最適施行を実現し得る点を強調している。
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