鼻骨骨折は顔面の骨折全体の半数を占め、全身でも3番目に多い骨折部位である。鼻骨骨折にはCT画像検査が最も高い診断精度を示すが、被曝線量や費用対効果、検査へのアクセスを考慮すると、スクリーニングには単純X線検査が用いやすい。韓国の共同研究チームは、X線検査に基づく深層学習アルゴリズムを構築し、鼻骨骨折の診断性能を検証している。
Scientific Reportsに掲載された同研究では、鼻骨骨折疑いでX線検査を行った6,713名の患者データセットから、鼻骨骨折検出アルゴリズムのトレーニングと検証を行った。その結果、アルゴリズムの骨折検出性能は、感度83.1%・特異度83.7%であった。また、2名の経験豊富な放射線科医と比較したところ、アルゴリズムは識別性能において1名の放射線科医を有意に上回り、もう1名の放射線科医とは有意な差を認めなかった。
研究チームは「開発した深層学習アルゴリズムは、X線での鼻骨骨折診断において、経験ある放射線科医と同等の性能を有する」と評している。今後、救急医や形成外科医など異なる背景の読影者を加えて検証を進めることで、モデルの追加的な潜在的有用性を示す可能性もあるとして、有望な診断支援ツールへの発展を期待している。
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