メンタル領域におけるデジタルヘルスを推進するHeadspace Health社は、ウェブベースのメンタルヘルスケアにおいて、「患者個々に最適なコンテンツを提供するためのレコメンドシステム」を実環境で検証した。研究成果は19日、JMIR Formative Researchから公表されている。
チームはスマートフォンアプリとして提供されるメンタルヘルスプラットフォーム「Ginger」において、2種のコンテンツレコメンドシステムを実装し、その効果の違いを検討した。1つ目は、アプリの開始時質問に対するユーザーの回答からコンテンツを推薦するもの、2つ目は実際のコーチングの会話記録、およびコンテンツ上への記述の意味類似性から、セッションごとにレコメンドを行うもの、となる。14,000人を超えるユーザーでの検証の結果、アプリの他セクションにおける平均完了率が37.3%であったのに対し、レコメンドセクションでは42.6%と有意に高率にコンテンツが消費されていた。また、会話ベースのコンテンツレコメンドは、開始時質問ベースのレコメンドよりも完了率が11.4%高く、ランダムレコメンドよりも26.1%高かった。また、年齢と性別がレコメンド方法の違いに敏感であることが観察され、ユーザーが35歳以上か男性である場合、パーソナライズされたレコメンデーションへの反応が高くなることが明らかとなっている。
チームは「有効なレコメンドシステムは、パーソナライズされたコンテンツとセルフケアの推奨を通して、デジタルメンタルヘルスケアのスケールアップと補完に役立つ可能性がある」としており、特に会話ベースのレコメンドアルゴリズムでは、コーチングセッション中に収集した情報に基づいた「ダイナミックなレコメンド」を行うことができ、治療過程でメンタルヘルスのニーズが変化することを考えると重要な機能であることを指摘している。
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