Med-PaLM – Googleが提供する医療用大規模言語モデル

Google Healthは14日に開催された年次イベント「The Check Up」の中で、医療用大規模言語モデル「Med-PaLM」の最新版を公開したことを明らかにした。Med-PaLMは、昨年末にGoogleが発表したもので、医学的な質問に対して正確かつ高品質な回答を生成することを目的とする。Med-PaLMは、米国の医師免許試験と同等の多肢選択式問題において、60%以上の合格点を達成した初めてのAIシステムとしても知られている。

Med-PaLMのアップデートバージョンでは、同種の試験問題において「常にエキスパートレベルの成績を収めた」としており、以前バージョンと比較して有意に18%以上の精度向上を実現し、正答率は85%以上を達成したという。Med-PaLMの回答には、事実の正確さや偏り、有害性の程度を判断するための徹底的な精査が行われており、現時点でも特定の医学的質問においては、臨床医と同等の回答精度、あるいはそれ以上に詳細な情報提供が可能となっている。一方、Google Healthのリサーチャーらは「あらゆる質問において完璧な状態とは言えない」ことも認めており、「消費者がこの技術にアクセスできるようになるにはまだ時間を要する」としている。

責任ある倫理的な方法でのアプリケーション提供が実現したとき、医師・患者関係には少なからず変化がもたらされることが想定され、特にスクリーニングや初期診断、治療方針策定、セカンドオピニオンのあり方などは激変する可能性があり、事態の推移には大きな注目が集まっている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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