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医学部教育におけるAI利用の可能性と課題

AI技術を利用した学習体験は、教育プロセスのさらなる個別化を可能とし、医学教育においても革新が期待されている。英国民保健サービス(NHS)の医師らによる新たな研究では、世界中の医学部カリキュラムにおけるAIの役割を評価し、現状の教育手法と比較するためのシステマティックレビューが行っている。

オープンアクセスジャーナルのCureusで公開されている同研究では、「医学部教育におけるAI」に特化してスクリーニングした11報の研究論文を対象に、内容の詳細な分析を行っている。ここから得られた知見として、「AIの性能は人間の関与と相乗効果をもたらすため、医学部カリキュラムを補完する手段としてAIを採用することは理想的である可能性」が示唆されている。

従来の教育手法と直接比較した研究では、AIの導入による良好な成果が示されているものの、研究数は限られており、研究の質にも改善の余地があると著者らは指摘している。また、AIベースの教育ツール導入は新たな経済的負担を伴うため、特に開発途上国の医学部教育にとっては障壁となり得るという課題も、実装に向けた検討事項として論じられた。

参照論文:

The Global Use of Artificial Intelligence in the Undergraduate Medical Curriculum: A Systematic Review

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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