腹部大動脈瘤(AAA: abdominal aortic aneurysm)は、腹部を走行する大動脈の部分的な膨らみを指し、そのサイズ増大は破裂リスクを高め、致命的な結果を招く可能性がある。1999-2016年までを調査した米国における疫学研究によると、破裂による死亡例の43%はスクリーニング基準に含まれていない患者で発生していたという。
このような状況を改善すべく、米国のクーパー大学病院は12日、未診断のAAA患者の早期発見を支援するAIソフトウェア「Viz Aortic」を米国内の病院として初めて導入することを発表した。このソフトウェアは、病院ネットワーク内のどのCTスキャナーによる画像でもAAAの存在を自動的に探索し、独自のAIアルゴリズムによって大動脈の径と微細な形状変化を識別する。これにより医師はAAAの早期診断・早期介入の機会を得ることができる。
クーパー大学病院は、本技術の導入が患者の転帰にどのような影響を与えるのかを継続的に評価し、AAA治療の革新を推進する。技術導入を主導した同病院の血管外科医であるPhilip M. Batista医師は「米国内病院の日常診療において、初めてViz Aorticを導入することを誇りに思う。この技術はAAAの早期検出から疾患モニタリング体制の改善、有効な介入計画、そして究極的には患者の救命につながるだろう」と述べた。
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