米国では、出生児の約33人に1人が何らかの先天性障害を持つとされるが、その多くは未だ原因が明らかではない。特定の化学物質が妊娠中に体内に取り込まれた場合、先天性障害のリスクが高まる可能性も指摘され、これらには医薬品、化粧品、食品、環境汚染物質などがある。米マウントサイナイ医科大学アイカーン校の研究チームは、「先天性障害リスクを抱えながらもその危険性が分類されていない医薬品を予測するAIモデル」の開発を進めている。
Communications Medicineに発表された研究では、先天性障害に関連する様々な医薬品情報を一元化するAIモデル「ReproTox-KG(生殖毒性ナレッジグラフ)」を構築した。このモデルは半教師あり学習を用い、胎盤を通過して先天異常を引き起こす可能性のある30,000種類以上の低分子化合物を評価し、薬剤誘発性の異常を説明し得る500種以上の要素を特定できたという。
著者のAvi Ma’ayan博士は「我々は、新薬が広く販売され流通する前に、先天性障害のリスクについて警告することを目指して研究を進めた。将来的に、米国食品医薬品局(FDA)や米国環境保護庁(EPA)のような規制当局が、新薬や新規化学物質のリスク評価にこの手法を活用することを期待している」と語った。
参照論文:
Toxicology knowledge graph for structural birth defects
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