医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例医療機器へのAI活用事例BioTrace - 肝腫瘍アブレーション時の超音波検査をAIで精密化

BioTrace – 肝腫瘍アブレーション時の超音波検査をAIで精密化

肝臓がん治療において低侵襲な焼灼療法(アブレーション)が普及している。この治療では超音波画像によりマイクロ波で焼灼すべき領域を推定するが、治療後の組織損傷の評価は容易ではなく、過剰治療あるいは過小治療が課題となっている。

イスラエル発のTechsomed社は、この課題に対応するAIソフトウェア「BioTraceIO」を開発した。BioTraceIOは、超音波画像データからアブレーションの基準範囲を独自のアルゴリズムによってリアルタイムで計算し、治療後の経時的な変化を予測することで治療範囲の有効性・安定性を高める。新医療機器としての市場導入を見据え、米国食品医薬品局(FDA)から「De Novo クリアランス」を取得したことも同社は発表している。

50名の患者を対象とした米国内多施設共同試験により、BioTraceIOの性能は検証されている。この試験では、焼灼範囲の24時間後の推定において、造影CTスキャンを上回る有効な結果が得られた。臨床試験を担任する、米UHクリーブランドメディカルセンターのNami Azar氏は、「超音波検査は、リアルタイムの可視化として費用効率が高く、患者にとって優しい選択肢だ。BioTraceIOで可視化を強化し、焼灼の反応を継続的にモニタリングすることで新たな可能性を開く」と語っている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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