医療進出を加速させるNVIDIA

NVIDIAは先週のGTC 2024で、ヘルスケアに特化した薬20のAIツールを発表している。また、Johnson & JohnsonやGE Healthcareとの新たな取り組みも明らかにした。

GPUの業界最大手にしてAI開発のトップリーダーである同社は、医療が今後の主要な収益機会になることを強く認識している。ここ1年半ほどの間に、AIが製薬業界、医療技術業界、バイオテクノロジー業界でどのように役立つか、具体的な成果や説得力のある使用事例が示されてきた。実際、NVIDIAの株価は年初来で100%近く上昇している。

特に医薬品開発は、コンセプトから臨床試験まで少なくとも10年はかかるリスキーなプロセスであるため、これを効率化するAIへの期待は大きい。昨年、NVIDIAは創薬プロジェクトのため、Recursionに5000万ドルを投資した。Recursionは、同社のクラウドプラットフォーム上でNVIDIAのAIモデルをトレーニングするために、生物学的および化学的データを入力している。同社はまた、RocheのGenentechとも協力し、新薬やより優れた治療プロトコルを開発している。

NVIDIAはJohnson & Johnsonと「外科手術における生成AIの活用」について、GE Healthcareとは「医療用画像の改善」に関しての契約を発表した。医療進出を加速させる一方で、AIの利点を最大化するためには医療分野で働く現場労働者からの理解を得ることも欠かせない。EYが提供する「AI Anxiety in Business Surevey」によると、同領域の労働者の3分の2以上がAIの利用に懸念を抱いており、10人中7人が職場でのAI導入に不安を感じているという。NVIDIAが今後医療において果たす役割に大きな注目が集まる。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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