英オックスフォード大学ビッグデータ研究所(BDI)の研究者らは、人類における遺伝関係の全体像、すなわち「全ての人々の祖先を辿る単一の系譜」をマッピングするための大いなる一歩を踏み出した。研究成果はこのほど、Scienceから公表されている。
過去20年間、ヒトの遺伝子研究は驚異的な進歩を遂げ、数千人に及ぶ先史時代の人々を含む数十万人分のゲノムデータが作成された。これにより、人類の遺伝的多様性の起源を辿り、世界中の人々が互いにどのような関係にあるのかを示す「完全な地図」を作成できる可能性が出てきた。これまで、これを実現するための主な課題は、1. 多くの異なるデータベースからゲノム配列を組み合わせる手法を開発すること、および、2. このサイズのデータを処理するアルゴリズムを開発することだった。一方で、BDIの研究者らがScienceに発表した新しい手法では、複数ソースからのデータを容易に結合し、数百万のゲノム配列に対応する規模に拡張することができる。
BDIの進化遺伝学者で、本論文の主執筆者の一人であるYan Wong博士は、「我々は巨大な家系図を構築した。これは、今日の人類に見られる全ての遺伝的変異を生み出した歴史を、できる限り正確にモデル化した全人類の系図と言える。これによって、全ての人の遺伝子配列が、ゲノムの全ての点に沿って、他人とどのように関連しているかを把握することができる」と述べる。なお、当該研究者らによるYouTube上の解説動画も参照のこと。
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