米ペンシルベニア州を本拠とする医療システム「Geisinger」はこのほど、日本の製薬大手であるエーザイと協力し、アルツハイマー病を含む認知機能障害を早期に検出するためのAIツールの有効性検証を行うことを明らかにした。
Geisingerが公表したところによるとこの共同研究では、認知機能障害の可能性が高い個人を特定するため、非識別化患者データセットでトレーニングされたAIアルゴリズムの有効性を検討する。このアルゴリズムは、米パデュー大学およびインディアナ大学の研究者らによって開発されたもので、Passive Digital Marker(PDM)と呼ばれる。Geisingerおよびエーザイの研究チームは、PDMをGeisingerが有する患者データセットで評価し、「認知症の初期症状を示唆する認知機能障害」を検出できる可能性を探る。
認知症患者数は急激に増加しており、現在、世界で5500万人以上が認知症を有するが、この数は2030年までに7800万人に増加するとも見込まれている。有効な診断・スクリーニング手法が限定的であることから、未診断の認知症も大きな問題となってきた。一方、早期発見と早期介入による進行抑制には科学的妥当性の担保された種々のアプローチが提唱されており、「いかに早く認知機能障害を捉えるか」が、現在、認知症管理における最も重要な因子となっている。
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