医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例疾患診断へのAI活用事例Geisinger x エーザイ - 認知機能障害の早期発見におけるAI活用

Geisinger x エーザイ – 認知機能障害の早期発見におけるAI活用

米ペンシルベニア州を本拠とする医療システム「Geisinger」はこのほど、日本の製薬大手であるエーザイと協力し、アルツハイマー病を含む認知機能障害を早期に検出するためのAIツールの有効性検証を行うことを明らかにした。

Geisingerが公表したところによるとこの共同研究では、認知機能障害の可能性が高い個人を特定するため、非識別化患者データセットでトレーニングされたAIアルゴリズムの有効性を検討する。このアルゴリズムは、米パデュー大学およびインディアナ大学の研究者らによって開発されたもので、Passive Digital Marker(PDM)と呼ばれる。Geisingerおよびエーザイの研究チームは、PDMをGeisingerが有する患者データセットで評価し、「認知症の初期症状を示唆する認知機能障害」を検出できる可能性を探る。

認知症患者数は急激に増加しており、現在、世界で5500万人以上が認知症を有するが、この数は2030年までに7800万人に増加するとも見込まれている。有効な診断・スクリーニング手法が限定的であることから、未診断の認知症も大きな問題となってきた。一方、早期発見と早期介入による進行抑制には科学的妥当性の担保された種々のアプローチが提唱されており、「いかに早く認知機能障害を捉えるか」が、現在、認知症管理における最も重要な因子となっている。

関連記事:

  1. AMPERプロジェクト – 認知症患者の記憶を想起するストーリーテリングAI
  2. 2年後の認知症診断を正確に予測するAI研究
  3. 認知症患者の介護者向け支援アプリが不足
  4. 認知症支援チャットボットの可能性と改善点
  5. 豪PainChek – 表情分析AIアプリで認知症高齢者の痛みを代弁
TOKYO analytica
TOKYO analyticahttps://tokyoanalytica.com/
TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
RELATED ARTICLES

最新記事

注目の記事