パンデミック後の世界において、創傷治療に対する遠隔プラットフォームの価値が注目されている。電子カルテ事業を中核とし、AIアプリなどを展開する「Net Health社」は、創傷の評価と管理を行うプラットフォーム「Tissue Analytics」の開発を進めている。
Tissue Analyticsは、創傷画像を取り込み、創傷の径・周長・表面積・組成を解析し、独自のマッピングにより治療計画を支援する。本アプリについては、オーストラリアのニューサウスウェールズ州保健局のサポートにより性能検証が行われ、その成果が International Wound Journalに掲載された。本研究では124名の患者における184ヶ所の創傷を対象とし、標準治療群との比較検証が行われている。その結果、AIアプリの利用により、創傷の文章記録と客観的評価手法が改善し、患者のアドヒアランス(治療遵守)が向上するなど治療効率の向上が確認された。
Net Health社の発表によると、本研究では、創傷分析モバイルプラットフォームの利点として、1.患者が創傷治療に積極的に参加できるようになる、2.創傷評価の精度が向上する、3.ケアに一貫性が生まれ医療者・患者双方の満足度が向上する、の3点を挙げ、調査報告をまとめている。臨床研究責任者のKeith Tode氏は「使いやすく、患者の興味を引き、バーチャルでの受診と相談が可能で、リアルタイムに洞察を提供するツールが求められている。本研究から、モバイル創傷管理プラットフォームに必要な機能を提供できることが示せた」と語っている。
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