イリノイ工科大学(IIT)の研究チームは、「糖尿病患者のための人工膵臓システム」を構築する大規模プロジェクトの一環として、米国立衛生研究所(NIH)から120万ドルの助成を受け、インスリン自動投与用の機械学習ツールを開発する。
平均的な1型糖尿病患者において、理想的な血糖レベルを維持するためには、日々100-200の意思決定が必要になるという。これを誤ると、つまりインスリン投与量が不適切であったり、タイミングが不適切であるなどすると、高血糖・低血糖に基づく重篤な症状を引き起こす可能性がある。また、この不適切な意思決定が持続した場合、長期的には糖尿病合併症を経験することになる。IITの研究チームは、2020年に人工膵臓システムを開発しているが、これは血糖値管理をサポートするトータルシステムとして、グルコースセンサーやリストバンド、専用スマートフォン、全自動インスリンポンプで構成されるもの。食事や運動など、代謝変化に応じて自動的に最適なインスリン投与を行うことができる。
研究チームは今回の助成金を用い、患者の過去の行動を機械学習ツールで分析し、血糖コントロールに影響を与える行動を識別・予測する機能を付加しようとする。インスリン投与は効果発現までに一定のタイムラグが存在し、事前予測が鍵になることを研究者らは強調している。
関連記事: