医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例医療機器へのAI活用事例「遠隔患者モニタリングツール」はさらなる普及へ

「遠隔患者モニタリングツール」はさらなる普及へ

デジタルトランスフォーメーションに焦点を当てた調査会社であるInsider Intelligenceはこのほど、ヘルスケアにおける遠隔患者モニタリング(RPM)技術に関する調査結果を明らかにした。ここでは、「2025年までに米国人口の26.2%にあたる7060万人がRPMツールを使用すること」など、興味深い予測と見解が示されている。

Insider Intelligenceによると、「デジタル化の影響を依然として受けていない最後の産業」として持ちこたえてきたヘルスケアは、COVID-19によってその状況が大きく変化し、大規模なデジタル化が進むことを指摘している。米国の医療システムや病院が転帰改善とコスト削減のために利用するツールの1つがPRM技術で、医師の手の届く範囲を広げ、患者と医療者の間に一定の関係を築くとともに、医療提供者にリアルタイムのヘルスデータを継続的に提供することができるようになる。具体的な変革事例としては、米ピッツバーグ大学医療センターは、患者にタブレットとRPM機器を提供することで、病院への再入院リスクを76%削減し、患者満足度を90%以上に維持したという。また、25の医療機関を調査したKLAS Researchのレポートによると、慢性疾患管理に重点を置いたRPMプログラムを実施している医療機関の38%が、入院患者の減少を報告したとする。

Insider Intelligenceは「RPM技術の次期トレンドを小型化」としており、機器メーカーは自社のソリューションを小型化し、侵襲性を低くする一方で、新規参入企業と提携しつつ市場シェアの拡大を図るという。Dexcomの例を挙げ、Alphabetのライフサイエンス部門であるVerilyと提携し、Bluetooth経由でヘルスデータをスマートフォンなどに送信できる新しい糖尿病センサーを開発している件に言及している。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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