超音波画像はリアルタイムかつ低コストであるため、血管注射や低侵襲手術のナビゲーションで広く用いられている。しかし、軟部組織のコントラストが低く、微細な血管の境界を明確に捉えることが困難であり、誤穿刺による合併症のリスクが課題となっていた。これに対し、中国の広州医科大学などの研究チームは、高解像度な光音響イメージングとAIを融合させ、超音波画像上の血管を正確に強調・抽出する新たなフレームワークを発表した。同研究はBiomedical Optics Expressに掲載されている。
本研究では、光音響イメージングで得られる高コントラストな血管画像を教師データとして活用し、超音波画像から血管を検出・領域分割する深層学習ネットワーク(UIU-Net)を訓練した。マウスの皮下血管を用いた実験の結果、UIU-Netは微細な血管構造や深い位置にある血管を正確に強調し、従来の手法(U-NetやnnU-Netなど)を上回る性能を示した。さらに、ウサギの耳を用いた超音波ガイド下穿刺実験では、98.0%の精度を示し、従来手法と比較してDice係数が25.57%向上するなど、複雑な血管形態においても標的を正確に捉えることが確認された。
本研究は、光音響イメージングとAIを組み合わせることで、すでに広く普及している超音波イメージングの可能性をさらに引き出すアプローチと位置づけることができる。光音響イメージングはその高いコントラストと機能性イメージング能力、加えてリアルタイム性などの利点で近年注目を浴びているが、実臨床への本格的な普及にはまだ解決すべき課題は存在する。本研究のようなアプローチは、光音響イメージングの強みを間接的に臨床にいち早く届けるという意味でもその価値は高い。このような考え方は超音波と光音響イメージングに限らず様々なイメージング手法に応用できる考え方であり、多方面への展開が期待される。
参照論文:
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