AIはドーピングを撲滅できるか?

スポーツでのドーピングとその隠ぺい技術は巧妙化し、アンチ・ドーピング活動はイタチごっこを強いられている。造血剤(EPO)や自己血輸血での心肺機能強化、ステロイドでの筋力増強、興奮作用薬などに関して、不正使用と検査逃れのテクニックは後を絶たない。コスト増大と人的資源の不足に対処するため、AIによるアンチ・ドーピング技術に期待が集まっている。

英メディアiNewsの報道によると、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)は、アスリート達の生体検査履歴(通称: 生体パスポート)へのAI分析の実用化を目指している。分析担当者の負担を軽減し、ドーピング検出率と正確性の向上で、競技の健全化と運営コスト軽減を期待する。

生体検査でのドーピング検出とは異なるアプローチも始まっている。仏Allianz Partnersは、フランス国立科学研究センター(CNRS)が異常な競技パフォーマンスの向上を検出するAIアルゴリズムを開発したと報じている。AIのいわゆるブラックボックス問題(過去記事)などから、アルゴリズム単独でドーピングを完全に証明するのは容易ではない。生体検査対象とするアスリートの検出・絞り込みによりコストの集中と軽減をねらいとしているとのことだ。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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