香港は現在、バイオテクノロジー分野で世界第2位の資金調達拠点と言われている。独立行政区の強みを活かし、「医療政策の策定支援、バイオテクノロジー研究の促進、臨床サービスの向上」という目標を香港の医院管理局は掲げている。
香港の新聞社 South China Morning Postの記事によると、医院管理局は25年以上に渡って集積された計280テラバイト超の医療記録へ、地元研究者たちの無償アクセスを許可制で開始している。単一のプラットフォームとしては世界最大級を誇り、投薬記録や放射線画像などの検査結果を含む。患者の個人情報は削除してプライバシーを保護するとともに、データの持ち出しを許可せず、顔認証システムで不正アクセスを防止するなどしている。同プラットフォームの活用例として、香港理工大学と香港科技大学の共同チームは、X線画像から股関節部の骨折を診断するAIシステムの開発に取り組んでいるという。
米メディアOpenGovの報道によると、香港特別行政区政府は2019年1月、バイオテクノロジー関連の500以上のプロジェクトに総額1億3千万米ドルの資金提供を行った。ニューヨーク・ロンドンと並ぶ最も競争力の高い金融市場を持つ香港では、世界一の医療技術開発拠点となるために政府を中心とした強力な支援体制づくりが続けられている。