多岐にわたる原因によって、急速な腎機能低下をきたす病態を急性腎障害(AKI)と呼ぶ。多くは可逆的であり、原因の究明と早期治療介入によって改善をみるが、診断の遅れは慢性的な透析導入や腎移植の必要性、さらには併存症による死亡リスクまでを高める。米カリフォルニア州オークランドに本拠を置くDascenaは、AKI早期診断のための機械学習アルゴリズムを開発している。
Dascenaが7日公表したところによると、同社のAKI早期診断アルゴリズム「Previse」は「FDAブレイクスルーデバイス」の認定を取得したという。Previseは、心拍数・呼吸数・体温・血清クレアチニン値・グラスゴーコーマスケール・年齢と、限られた情報から早期のAKI発症を予測できる。Canadian Journal of Kidney Health and Diseaseに公表された同社の根拠論文によると、Previseは発症48時間前にAKIを予測し84%の精度を示している。これは臨床的な診断基準を満たす前からの適切な介入を実現できることを意味し、同アルゴリズム利用による患者転機の大幅な改善が強く期待されている。
Dascena CEOのRitankar Das氏は「我々の機械学習アルゴリズムは、バイタルタインを主としたデータ分析によって患者のAKI発症リスクを判断することができる。このテクノロジーにより、患者予後の悪化を防ぐだけの十分な時間を、各臨床医に提供することができると信じている」とする。