米国立精神衛生研究所(NIMH)によると、過去1年間に1730万人以上の米国成人がうつ症状に苦しみ、3人に1人が不安障害を抱えるという。米国におけるメンタルヘルス不調は深刻な社会問題となっているが、未診断や過小診断も多く、適切な治療に至らないことも状況の悪化を加速させている。
米ウィスコンシン州の最大都市であるミルウォーキーに所在するウィスコンシン大学とその関連病院では、メンタルヘルス治療プログラムの一部として処方できるデジタルヘルスアプリとプラットフォームを実装している。Healthcare IT Newsの報道によると、これらにはマインドフルネスのサポートアプリやオンラインでの認知行動療法プログラムなどが含まれるという。本事業を率いるBradley Crotty医師は「デジタルアプローチは、これまでのヘルスケアが可能であったものとは全く異なる方法で、人々をエンゲージすることができる」とし、メンタル治療の根幹と枠組みさえ変革し得る点を強調する。
ウィスコンシン大学の事例では、ユーザーの60%以上でシステム利用に伴う症状改善がみられ、中等度うつ病患者でPHQ-9スコアとして平均23%、中等度不安神経症患者ではGAD-7スコアとして26%の低下を確認している。アプリを含めたデジタル治療をプライマリケアに組み込むことで、ケアの質を補助・強化する可能性が高いとし、サービスの適用範囲拡大を見据えている。
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