透析患者の血液アクセス用シャントが狭窄・閉塞するトラブルは日常的なものだが、それに対するチェック体制は、検査の煩雑さなどを理由に不十分となりがちである。2021年12月2日〜5日まで台湾で開催されたAPAC地域最大級の展示会「台湾医療科技展」では、台北医学大学と台北市立萬芳病院が米Above Care社と共同開発した「AIベースの非侵襲的なシャント狭窄検出装置」が発表された。
開発されたシステムは、皮膚に装着する小型パッチデバイスからシャント血流音を録音し、クラウドプラットフォーム上にアップロードされたデータをAIが自動解析し、狭窄などのシャントトラブルを検出するもの。約20秒の検査プロセスで、診断の正確性は約90%としている。また、血流音から「シャントの状態変化」を予測する拡張機能も備えるという。
台湾における透析患者数、特に有病率は世界的にトップクラスであることは以前の記事でも紹介した(過去記事)。台湾全体で約12%の国民に慢性腎臓病がみられ、10万人規模の透析患者がいるなか、本デバイスのような簡便で利用しやすいポイントオブケア検査(POCT: Point-of-Care Testing)への需要は高い。台湾医療科技展の展示内容からは、同国で成長著しいデジタルヘルス領域の将来性が感じられる。
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