医薬品の開発において、AIソフトウェアの作成とその検証を実施していくため、大手企業と技術系ベンチャー企業の関係と同様に、学術界と製薬会社の提携が生まれている。彼らの目的は、AIの技術を使うことにより、臨床データから製薬までにかかる期間を、よりスムーズに、そして低コスト化することである。この連携は、医薬品の設計と製造のプロセスまでも変えてしまう可能性を含んでいる。
電子メディアMed City Newsが報じたところでは、2019年1月上旬に行われたJPモルガンヘルスケア会議において、次のような声明が発表されたという。(1)業界内におけるAIの定義を確立する。(2)ニュース等でのAIの成果が誇張されている場合には適切に対処する。(3)新たな研究結果をオープンアクセス化し、データの共有を促す。
Spectrum Science Communications 取締役副社長であるLeslie Wheeler氏は、電子メディアMed City Newsの取材に対し、「人工知能の標準化や、それを取り巻く規制が検討されるためには、より多くの利害関係者が議論をする必要がある」と述べ、業界内で提携が進んでいることに前向きな態度を示している。
AIは医療業界にとってはあくまで価値提供を促進するサポーターであり、それ自体が万能薬ではないことを業界内で今一度認識をする必要がある。そして、ヘルスケアにおけるAIの価値を長期的にわたって高めていくためには、厳密で、透明性のある検証が欠かせないだろう。