カナダの医学生を対象にした近年の意識調査では、3割もの医学生が「AIは放射線科医を代替してしまう」、7割が「放射線科医の需要は減少していく」と考えていることが判明している。そうした中、先月末、米ロス大学医学部の医学生が、学術誌Academic Radiologyにて公開したレター論文が話題を呼んでいる。
Radiology Businessが報じたところによると、医学生のKush Purohit氏は、論文の中で、医学生が将来のキャリアとして放射線科医を避ける可能性を否定していない。しかしその一方で、以前よりもはるかに医用画像に触れることが多くなった医療現場と医学教育の現状を指摘し、医療における画像技術そのものへの関心はこれまでになく高まっているという。同氏は「このまま医用画像への曝露が続けば、究極的にはAI技術に対する不安の減少、放射線科というキャリア選択に繋がっていくだろう」と持論を展開している。
放射線科医のうち、特に「読影」の専門医たちは、医用画像から疾患診断を行うことを得意とし、高い専門性を認められ発展を遂げてきた。近年のAI技術の台頭は、医学生の選択を阻害しているという研究もある一方、結果は非常に限定的で一貫した結論は得られていない。バージニア大学准教授のArun Krishnaraj医師は、米国放射線医学会に寄せたコメントで「放射線科医は人間性に根差したものへ価値をシフトする必要がある」とし、先端技術との差別化の必要性も指摘している。