医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例AIを巡る医療経済・政策オックスフォード大学とユトレヒト大学主導 - AI予測モデルに関する新しいガイドライン策定へ

オックスフォード大学とユトレヒト大学主導 – AI予測モデルに関する新しいガイドライン策定へ

ヘルスケアのデジタル化が、機械学習などAIの進歩によって強力に推進される状況が続いている。しかし、そのイノベーション的な側面と、誇大広告とを区別するのは容易ではない。臨床医学におけるAIは、方法論での不完全さと再現性の乏しさが問題となる。予測モデル研究についてもその不完全性は指摘が多い。

Regenerative Medicine Utrechtは、機械学習に特化した予測モデル研究のガイドライン策定を、オックスフォード大のGary Collins教授とユトレヒト大のCarl Moons教授が主導すると発表した。新ガイドライン(通称TRIPOD-ML)は、これまでに確立された予測モデル研究についてのガイドライン『TRIPOD声明』に、機械学習などAI研究で新しく生まれた専門性を取り込み、適切な方法論に準拠したAI予測アルゴリズム研究をサポートする。

AI医学研究では、妥当性の検証不足が常に指摘されている(過去記事)。臨床医学が目の前のAI革命に対して、盲目的に魅了されることがないように、戒める意見は少なくない。日本国内向けのTRIPOD声明などを参考として、関連する研究者たちは原点に立ち返る姿勢が重要となるだろう。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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