ヘルスケアのデジタル化が、機械学習などAIの進歩によって強力に推進される状況が続いている。しかし、そのイノベーション的な側面と、誇大広告とを区別するのは容易ではない。臨床医学におけるAIは、方法論での不完全さと再現性の乏しさが問題となる。予測モデル研究についてもその不完全性は指摘が多い。
Regenerative Medicine Utrechtは、機械学習に特化した予測モデル研究のガイドライン策定を、オックスフォード大のGary Collins教授とユトレヒト大のCarl Moons教授が主導すると発表した。新ガイドライン(通称TRIPOD-ML)は、これまでに確立された予測モデル研究についてのガイドライン『TRIPOD声明』に、機械学習などAI研究で新しく生まれた専門性を取り込み、適切な方法論に準拠したAI予測アルゴリズム研究をサポートする。
AI医学研究では、妥当性の検証不足が常に指摘されている(過去記事)。臨床医学が目の前のAI革命に対して、盲目的に魅了されることがないように、戒める意見は少なくない。日本国内向けのTRIPOD声明などを参考として、関連する研究者たちは原点に立ち返る姿勢が重要となるだろう。