時に選手生命を脅かすようなスポーツ外傷は、選手本人はもとより、プロスポーツの世界ではクラブチームの運営にとっても重大な懸念事項である。AIを利用し、アスリートの外傷を予測する取り組みを紹介する。
SoBigDataの記事によると、ピサ大学とFCバルセロナらの共同研究で、プロサッカーチームでの50%以上の筋損傷を予測するAIアルゴリズムが開発されたという。練習中やゲーム中に選手が着用するGPSデバイスからの物理パラメータや、最近の怪我の情報に基づきリスクを算出できる。研究成果はPLoS ONEに報告されている。
勝敗に直結する戦略・戦術へのAI活用に比較し、スポーツ障害予防に向けた医療データ利用の遅れが指摘されており、今後も商業ベースでの技術成長が見込まれている。米スタートアップのZone7はアスリートの怪我を予測するAIプラットフォーム開発企業であり、シードラウンドで250万ドルを調達するなど、同分野の好例として注目を受けた。チームにとっては目の前の勝敗よりも、怪我の予防は多額のコスト抑制につながる可能性がある。また、予防技術の開発は選手個人にとっても大いに歓迎されるものであり、アマチュアスポーツ愛好家への応用範囲拡大も期待される。