Microsoft – インド人の心疾患リスクを探る取り組み

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心疾患、特に冠動脈疾患のリスク因子は欧米を中心にエビデンスの構築が進んでおり、それらリスク因子が他人種においては十分な疾患の発症予測を行わないことがある。実際、インド人においてはLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)高値が必ずしも、欧米人のように高度な心疾患リスクとはならないことが知られている。

Microsoftが19日に公開した記事によると、インド最大の私設ヘルス企業Apollo Hospitalsと共同し、AIを利用した「インド人における心疾患リスク因子の探索」を行なっているという。インド全土40万人以上の患者データをもとに、Microsft Azureのクラウドサービスを利用し、機械学習手法による潜在的リスク因子と心疾患発症の関係を探っている。現在のところ、インド人に特異的な心疾患リスクとして21のリスク因子を同定しており、これを利用した冠動脈疾患の発症予測モデルは、従来のものに対して2倍程度の正確性を誇るとのこと。

医療分野におけるAIの急速な進展においては、とかく個別化医療実現の可能性に注目が集まる。これは個人ごとの予防・診断・治療における最適化を意味する一方、従来、著しくエビデンスが欠落していた特定集団における医学的知見の補完が可能であることも重要な要素であり、今回紹介した一例はこの際たるものと言えるだろう。

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TOKYO analytica
TOKYO analyticaは、データサイエンスと臨床医学への深い造詣を武器とし、健康に関するあらゆるモノ・コトのエビデンス構築・普及をお手伝いするメディカルコンサルティングプロジェクトです。
The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. M.Okamoto MD, MPH, MSc
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。専門はメディカルデータサイエンス。ロンドンでのベンチャーエンジニアを経て、英国内の大学で医療データベース研究に従事。

2. T.Sugino MD
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。