台湾台南市に本拠を置く国立成功大学(NCKU)は、医学教育における学習効果向上を狙い、バーチャルリアリティ(VR)の積極導入を開始した。完成したVR教室では、まずは人体解剖学の授業が展開されることとなり、学習科目の順次拡充を計画している。
NCKUが同大ニュースセンターを通じて公表したところによると、新たに導入されたVR教室では3D解剖学ソフトウェアを適切に運用するため、75インチモニター・360度カメラ・VRヘルメットなどが設置されたという。医学生は同システムを利用し、人体の複雑な構造をあらゆる角度から観察することが可能となり、臓器・血管・神経の正常構造と相互の位置関係を直感的に理解することができるようになる。人体解剖学部門のChia-Ching Wu教授によると、医学教育向けの献体数には限りがあり、良質で再現性のある解剖学教育のためにはテクノロジー利用が有効となることを指摘する。
NCKUは伝統的に工学、特に電気電子や機械、情報技術などを強みとしており、これら分野と協調し、ニーズに即応したインタラクティブな3D教育システムの拡充に努める。VRの医学教育への適用例としては、英Oxford Medical Simulationが高い技術と実績を有している。本メディアでも以前に紹介しているので参照のこと(過去記事)。