心房細動による再入院を予測する機械学習モデル

米ユタ州・ソルトレイクシティに本拠を置くユタ大学などの研究チームは、心房細動を原因とした再入院を予測する機械学習モデルを構築した。研究成果は、ピアレビューのオープンアクセスジャーナルであるHealth Services Research and Managerial Epidemiologyにてこのほど公開された。

チームの研究論文によると、2013年度版の「Nationwide Readmissions Database(全国再入院データベース)」を用い、カテーテルアブレーションを受けた心房細動患者の90日間における再入院予測モデルを導出したという。k近傍法や決定木、サポートベクターマシンなど複数の機械学習手法によって変数の重要度評価と予測モデル構築を進めたところ、k近傍法が予測精度85%となり、最良のパフォーマンスを示していた。

利用されたデータベースにおいても、患者平均年齢64.9歳に対して17.6%が再入院を記録している。心房細動のない患者と比較して「複数回の入院を必要とする可能性」は3倍高く、米国での同患者集団における直接医療費は73%高くなるとの報告もある。チームは「予測モデルの適用によって再入院リスクを評価することは医療経済の効率化だけでなく、効果的な予防的治療や患者ケアの改善を通した死亡率の低下にも寄与する」としている。

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TOKYO analytica
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1. M.Okamoto MD, MPH, MSc, PhD
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員を経て、東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. T.Sugino MD
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。