指定難病に分類される神経変性疾患であるパーキンソン病は、運動症状を主体とした進行性疾患で、特に高齢患者における転倒は生命予後にとっても大きな問題となってきた。タイ・キングチュラロンコン記念病院などの研究チームは、パーキンソン病患者における転倒を予測する機械学習モデルを構築した。
Parkinsonism & Related Disordersにてオンライン公開されたチームの研究論文によると、305名のパーキンソン病患者データからこのアルゴリズムを導いたという。患者基本属性や内服状況、身体バランス評価などから、XGBoostを用いた教師あり機械学習モデルによって転倒予測を実現した。
モデル精度は72%にとどまったが、転倒予測における説明力の高い変数として「床を掃除する」「混雑したモールを歩く」などが同定されており、これらは介入によって修正可能な因子であるため、パーキンソン病患者における転倒予防への具体的な示唆を示すものでもあった。患者個々の転倒予防戦略策定のため、同種アプローチによる更なる知見集積が期待されている。