医学的診断におけるAIの市場規模は2019年の36億ドルから、2027年までに660億ドル規模と拡大することが予測されている。これは年平均成長率(CAGR)では44%と急速で、市場の成長は主として「疾患の特定と診断におけるAI活用機会の増加」および「ヘルスケアAI企業への投資増加」に起因するもの。
Research and Marketsによる最新レポートによると、現在同市場において最大シェアを保持するのは医用画像ツールである一方、2027年までに最高のCAGRを記録するのは疾患自動検出システムになるという。また領域別では腫瘍学分野がリードする現シェアに対して、同期間のCAGRとしては放射線科分野が最高となる見込み。さらに、現在遠隔受診・相談サービスを柱とする遠隔診療領域では、リモートモニタリングが最大の成長を記録するとしている。
医療AIは麻酔薬や抗生剤に並ぶ技術革新と評する向きも強まるなか、専門人材の不足や関連法規制の未成熟が市場の成長を妨げる主要な要因とみられている。米中の国策としての強力なAI戦略が推し進められる一方、英国は国立の医療AI研究所設立やテック企業との積極的な連携を進め、これを追随している。日本は次の10年この領域で何をなし、どういう立場を得られるだろうか。